子どもに法教育が必要な理由|「選ぶ力」を育てる法的思考とは
「法教育って、将来弁護士にでもなるの?」——そう思う方は少なくありません。

この記事でわかること
- 法教育とは「法律を暗記すること」ではなく、何を学ぶのか
- なぜ今の子どもに法教育が必要なのか
- 法教育で育つ3つの力(論理的思考・権利意識・表現力)
- 日本の学校での法教育の現状
- 家庭でできる法教育のはじめかた
「法教育って、将来弁護士にでもなるの?」——そう思う方は少なくありません。
法教育は法律家を育てるためのものではありません。 自分の頭で考え、自分の言葉で伝え、自分の人生を選ぶ力を育てる教育です。
「1つの会社に入れば一生安泰」という時代は、終わりを迎えています。子どもたちが社会に出るころ、求められる力は「答えを覚えること」ではなく「問いを立て、判断し、行動する力」のはずです。その基礎となるのが、法的思考です。
法教育とは?「法律を暗記すること」ではない
法教育とは、法律の条文を覚える教育ではありません。
日本弁護士連合会(日弁連)は、法教育をこう定義しています。
自分たちの身の回りで起こるさまざまな問題について、法的なものの見方・考え方に基づき、主体的に考え、公正に判断し、自ら行動する力を身につける教育
❌ 条文を暗記するだけの学習
- 「第○条には○○と書いてある」を覚える
- テストが終われば忘れる
- 実生活で使えない
✅ 法教育が育てるもの
- 「なぜこの法律があるのか」を考える力
- ルールを自分で判断・提案できる
- 日常の問題解決に活かせる
かみ砕くと、「ルールはなぜ存在するのか」を自分で考える力を育てることです。
「廊下は走らない」というルールがあるとき、「先生に怒られるから守る」のと「誰かがケガをしないための約束だから守る」と理解するのでは、行動がまったく変わります。新しいルールが必要になったとき、前者は黙って従い、後者は「では、どんなルールが必要か」を考え始めます。
法教育は「ルールを守る人間をつくる」のではなく、「ルールを使いこなし、必要なら変えていける人間を育てる」教育です。
なぜ今、子どもに法教育が必要なのか
「1つの正解を選ぶ力」から「自分で選択肢を作る力」へ。 社会が求める力が変わっています。
終身雇用制度の崩壊、AIの普及、価値観の多様化——子どもたちが生きる社会は、保護者の世代が経験したものとは大きく異なります。「敷かれたレールをうまく進む力」より、「自分でレールを敷く力」が必要な時代です。
また、2021年に本格展開したGIGAスクール構想によって、子ども1人に1台のデジタル端末が配備されました。情報との接触が劇的に増えた今、情報を批判的に読み解き、自分の判断で行動する力は、かつてないほど重要です。
法教育は、その土台にある「法的思考」を育てます。法的思考とは、「なぜ?」「誰のため?」「フェアか?」を問い続ける習慣です。これはそのままメディアリテラシーの核心でもあります。
さらに、いじめ防止対策推進法のような法律も、「法律を知っている子ども」には強い味方になります。自分の権利を知ることで、助けを求める力が生まれます。
法教育で育つ3つの力
法教育が子どもにもたらす変化は、1つではありません。3つの力がまとめて育ちます。
① 論理的思考(ロジカルシンキング)
法律的な考え方の本質は、「根拠→主張」の構造で物事を捉える力です。「なんとなく」「みんながそうだから」という思考から脱却し、「なぜそう言えるのか」を問い続けます。
学校の授業でも、社会に出てからも、この力は変わらず役立ちます。算数の文章題でも将来の仕事でも、「根拠をもとに結論を出す」姿勢は一貫しています。
② 権利意識(自分と他者を守る感覚)
「自分には権利がある」と知っている子どもは、理不尽な扱いをされたとき「おかしい」と気づきます。権利を知ることは、自分を守るだけでなく、他者を守ることにもつながります。
「自分が嫌なことは相手も嫌」という感覚は、法的権利の概念から自然に育つものです。
③ 自分の言葉で伝える力
法的な議論では、曖昧な表現は通用しません。「どういう意味で言っているのか」を具体的に言語化する力が求められます。これはSTEAM教育が重視する「Arts(表現・創造)」の力とも重なります。
こども六法スクールの活動で印象的なのは、子どもたちの言葉が変わることです。「なんかムカつく」という表現が、「私は◯◯という理由で、これはフェアではないと思う」という言葉に変わっていく様子を、保護者の方から報告していただくことがあります。
日本の学校での法教育の現状
日本でも、法教育は少しずつ学校に取り入れられています。 ただし、まだ十分とは言えません。
法務省と日弁連は、学校向けの法教育教材を共同開発しています。小学校5・6年生向けには「もめごとの解決」「ルールづくり」、中学校向けには「契約」「刑事裁判」などの単元があります。参考:法務省 法教育に関する教材
ところが、実際の授業実施率は学校によって大きな差があります。教える側の教員が法教育に不慣れなケースが多く、充実した法教育を受けられるかどうかは学校次第になっているのが現状です。
2020年施行の学習指導要領では高校「公共」が必修化され、主権者教育が強化されました。しかし小中学校での系統的な法教育は、まだ発展途上です。
「学校任せにしない」選択が、子どもの可能性を広げます。
家庭でできる法教育のはじめかた
法教育は、特別な道具も専門知識も必要ありません。日常の会話から始められます。
ルールの理由を一緒に考える時間を作る
「これはフェアだと思う?」と問いかけてみる
「ルールは一緒に作るもの」という感覚を育てる
「なぜ?」を習慣にする
子どもが「なんでこのルールがあるの?」と聞いてきたとき、「そういうものだから」で終わらせず、一緒に考える時間を作ることが第一歩です。
「このルールがないと、どうなるかな?」 「誰が困る?誰を守るためにあると思う?」
この問いかけを繰り返すだけで、子どもに「ルールを主体的に考える習慣」が育ちます。
ニュースを「フェアか?」で見る
食事の時間などにニュースを話題にして、「これはフェアだと思う?」と問いかけてみてください。正解は必要ありません。「意見を言ってよい」という環境を作ることが、法的思考の土台です。
家のルールを子どもに「提案」させる
「ゲームをしていい時間」「お風呂に入る時間」——家のルールを子ども自身に提案させると、「ルールは一緒に作るもの」という感覚が育ちます。
家庭での取り組みを始めたご家庭の保護者から、「子どもが自分から『このルール、こうした方がいいと思うんだけど』と言うようになった」という声を聞くことがあります。法的思考は、日常のなかに芽生えます。
こども六法スクールが「法教育で選ぶ力」を育てる理由
こども六法スクールでは、法教育を「知識として教える」のではなく、「体験して身につける」形で届けています。
3つの手法がその核心です。
| 手法 | 内容 | 育つ力 |
|---|---|---|
| 法教育(アクティブラーニング) | ロールプレイ・ゲーミフィケーションで法的思考を実践 | 論理的思考・判断力 |
| メディアリテラシー教育 | 情報の受信・発信スキルをワークショップで鍛える | 批判的思考・情報選択力 |
| シアター・イン・エデュケーション | 英国発祥の演劇手法でプロの俳優と協働 | 表現力・受け取る力 |
3つの教育が組み合わさることで、「知っているだけ」ではなく「使える力」として定着します。これはESD教育(持続可能な社会の担い手を育てる教育)が目指す「知識→思考→行動の連鎖」とも重なります。
東京・浮間舟渡の教室での対面授業と、全国対応のオンライン授業の両方から選べます。
よくある質問
Q1. 法教育は何歳から始めるのがよいですか?
A. 小学校低学年から始められます。「約束はなぜ守るの?」という問いかけは就学前の子どもにも届きます。こども六法スクールは小学校高学年〜中学生を主な対象としており、体験授業でお子さんの様子を見てから判断することもできます。
Q2. 家庭での法教育と、スクールで学ぶことはどう違いますか?
A. 家庭での取り組みは「習慣と土台」を作ります。スクールでは仲間とのディベート・ロールプレイ・演劇的ワークショップによって、家庭だけでは体験できない「対話のなかで考える力」を鍛えます。両方が補い合います。
Q3. 法律の知識がない親でも、子どもと法教育の話ができますか?
A. できます。法教育に必要なのは「法律の知識」ではなく、「なぜ?と問い続ける姿勢」です。保護者が答えを持っていなくても、一緒に考えることが最大の学びになります。
Q4. 学校の授業とこども六法スクールの法教育はどう違いますか?
A. 学校の授業は「教科書の内容を理解する」ことが中心です。こども六法スクールでは「自分はどう判断するか」を言語化し、他者と議論する実践型の学びが中心です。思考のプロセスを鍛える点が根本的に異なります。
Q5. オンラインでも受講できますか?
A. はい。東京・浮間舟渡の対面教室に加え、全国どこからでも受講できるオンライン授業があります。まずは体験授業からお試しいただけます。
まとめ
法教育とは、子どもが「自分の人生を選ぶ力」を育てる教育です。要点の整理。
- 法教育 = 法律の暗記ではない:ルールの意味を問い、主体的に判断する力を育てる
- 今の時代に必要な理由:GIGAスクール時代・多様な選択肢・AI社会への対応
- 育つ3つの力:論理的思考・権利意識・自分の言葉で伝える力
- 学校だけでは不十分:系統的な法教育を受けられるかは学校次第
- 家庭でできること:「なぜ?」を習慣にするだけで始められる
法律の知識が、子どもの選択肢を広げます。自分の頭で考え、自分の言葉で伝え、自分の人生を選ぶ力——その第一歩を、こども六法スクールと一緒に踏み出してみてください。
山﨑聡一郎(やまさき そういちろう)
株式会社Art&Arts代表取締役 / こども六法スクール代表
慶應義塾大学総合政策学部、一橋大学大学院社会学研究科をへて、東京大学大学院学際情報学府博士課程在籍。劇団四季「ノートルダムの鐘」に出演するなど、ミュージカル俳優としても活躍。オックスフォード大学に留学し、シアター・イン・エデュケーションを学んだ経験を活かし、こども六法スクールのカリキュラムを設計。『こども六法』ほか、12冊超の児童書を執筆している。
習い事として「考える力」を育てたい方へ
こども六法スクールは、法教育・ロジカルシンキング・メディアリテラシー・演劇教育の4領域で「選ぶ力」を育てるオンラインスクールです。まずは情報サイトのトップで全体像をご覧ください。
こども六法スクールとは? →