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メルカリ返品トラブルに未成年者が巻き込まれたら?法的に考える視点

フリマアプリの利用が日常的になる中、未成年者がメルカリでの返品トラブルに巻き込まれるケースも増えています。特に「商品説明と違う」「すぐに壊れた」といった問題は、未成年者の契約責任や、保護者の関わり方を考える上で重要なテーマです。この記事では、契約不適合責任や未成年者契約取消権とい…

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2026.07.20
メルカリ返品トラブルに未成年者が巻き込まれたら?法的に考える視点

フリマアプリの利用が日常的になる中、未成年者がメルカリでの返品トラブルに巻き込まれるケースも増えています。特に「商品説明と違う」「すぐに壊れた」といった問題は、未成年者の契約責任や、保護者の関わり方を考える上で重要なテーマです。この記事では、契約不適合責任や未成年者契約取消権といった法的概念を軸に、未成年者がトラブルに直面した際にどのように考え、対処すべきかを深掘りします。感情的な対応ではなく、法律というOSを使って論理的に問題を構造化する力を育むヒ視点から、具体的なヒントをお届けします。

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未成年者のフリマアプリ利用とトラブルの実態

フリマアプリは、手軽にモノを売買できる便利なツールとして、多くの人に利用されています。中学生や高校生といった未成年者も、自分のお小遣いで購入したり、不要になったものを出品したりする機会が増えています。しかし、その手軽さゆえに、思わぬトラブルに巻き込まれることも少なくありません。

国民生活センターには、フリマアプリに関する相談が多数寄せられており、未成年者からの相談もその一部を占めます。例えば、購入した商品が写真と明らかに違っていた、届いた商品がすぐに壊れてしまった、といった「契約不適合」に関する問題や、出品した商品について購入者からクレームが入り、返品を求められるケースなどがあります。

これらのトラブルは、単に「損をした」「騙された」という感情的な問題にとどまらず、法的な権利や義務が複雑に絡み合っていることが多いのです。特に未成年者の場合、民法で定められた特別な保護があるため、大人と同じように考えてしまうと、思わぬ事態を招く可能性もあります。

保護者としては、子どもがフリマアプリを利用する際に、こうしたトラブルのリスクを理解し、どのように法的思考を働かせて対処すべきかを考える機会を提供することが大切です。単に「利用をやめさせる」のではなく、トラブルを通じて法の論理を学ぶ機会と捉えることが、子どもの成長につながります。

契約不適合責任とは?「思っていたのと違う」をどう法的に捉えるか

契約不適合責任とは?「思っていたのと違う」をどう法的に捉えるか

フリマアプリでの返品トラブルでよくあるのが、「届いた商品が商品説明と違った」「すぐに壊れてしまった」といったケースです。これは、民法でいう「契約不適合責任」という概念に深く関わっています。2020年4月1日に施行された改正民法により、それまでの「瑕疵担保責任」に代わり、「契約不適合責任」という考え方が導入されました。

契約不適合責任とは、売買契約において、引き渡された目的物が種類、品質、数量に関して契約の内容に適合しない場合に、売主が負う責任のことです(民法第562条以下)。簡単に言えば、「売ります」「買います」と合意した内容と、実際に手元に届いたモノが異なっていたら、売主が責任を負うということです。

具体的には、以下のような状況が契約不適合に該当する可能性があります。

  • 種類に関する不適合: 注文した商品とは全く別の種類の商品が届いた場合。
  • 品質に関する不適合: 商品に傷や汚れがある、動作しないなど、通常有すべき品質や契約で定められた品質を備えていない場合。例えば、説明には「新品同様」とあったのに、実際には目立つ傷があった、といったケースです。
  • 数量に関する不適合: 注文した数量よりも少ない商品が届いた場合。

購入者は、契約不適合があった場合、売主に対して以下のような権利を行使できます。 1. 追完請求(修理・代替品引渡し・不足分の引渡し):まずは、契約内容に合った状態にしてもらうよう求めることができます(民法第562条)。 2. 代金減額請求:追完が不可能だったり、売主が追完に応じなかったりする場合、代金の減額を請求できます(民法第563条)。 3. 損害賠償請求:契約不適合によって損害が生じた場合、その賠償を請求できます(民法第415条)。 4. 契約解除:契約不適合が重大で、契約の目的が達成できないような場合、契約を解除できます(民法第564条)。

重要なのは、これらの権利を行使するには、原則として契約不適合を知ってから1年以内に売主に通知しなければならないという点です(民法第566条)。フリマアプリでは、商品が届いたらすぐに確認し、何か問題があれば早めに連絡することが大切です。

この契約不適合責任の考え方は、単に「商品の良し悪し」を判断するだけでなく、「契約とは何か」「約束とは何か」を法的に理解するための重要な入り口になります。子どもたちがフリマアプリでのトラブルを通じて、契約の基本原則を学ぶことは、将来、社会に出て様々な契約に直面する上で非常に役立つでしょう。

未成年者契約取消権とは?子どもを守るための民法のルール

未成年者契約取消権とは?子どもを守るための民法のルール

未成年者がフリマアプリでトラブルに巻き込まれた際、契約不適合責任と並んで重要な法的概念が「未成年者契約取消権」です。これは、民法が未成年者を保護するために定めている特別なルールであり、子どもたちの取引におけるリスクを軽減する役割を果たします。

民法第4条は、「年齢十八歳をもって、成年とする」と定めています。そして、民法第5条1項では、「未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない」とされています。ここでいう「法律行為」とは、契約を結ぶことなど、法的な権利や義務を生じさせる行為全般を指します。

つまり、未成年者がフリマアプリで商品を売買する(契約する)場合、原則として保護者(法定代理人)の同意が必要なのです。もし保護者の同意を得ずに契約してしまった場合、その契約は「取り消すことができる」とされています(民法第5条2項)。これが「未成年者契約取消権」です。

この取消権のポイントは以下の通りです。

  • 同意がない契約: 保護者の同意なく未成年者が単独で行った契約が対象です。
  • 取消しの効果: 一度取り消されると、その契約は初めから無効であったことになります(民法第121条)。例えば、未成年者が購入した商品を取り消した場合、商品は売主に返還され、支払った代金も返還されることになります。
  • 誰が取り消せるか: 未成年者本人、またはその法定代理人(保護者)が取り消すことができます。
  • 取消しの時期: 未成年者が成年になったときから5年間、または契約の時から10年間行使しないと、時効によって消滅します(民法第126条)。

ただし、未成年者契約取消権にはいくつかの例外があります。

  • お小遣いの範囲内の取引: 未成年者が「目的を定めて許された財産」(お小遣いなど)の範囲内で取引をする場合、保護者の同意は不要とされています(民法第5条3項)。例えば、自分のお小遣いで漫画や文房具を購入するようなケースです。フリマアプリでの少額取引がこれに該当するかは、個別の状況によって判断が分かれることもあります。
  • 事業者としての取引: 未成年者が事業を営むことを許された場合、その事業に関する取引には同意が不要です(民法第6条)。
  • 詐術を用いた場合: 未成年者が、自分を成年であると偽ったり、保護者の同意があるかのように嘘をついたりして契約した場合、その契約を取り消すことはできません(民法第21条)。

未成年者契約取消権は、経験や判断能力が未熟な子どもたちを、不利益な契約から保護するための重要な制度です。保護者としては、子どもがフリマアプリを利用する際に、このルールを理解させ、安易な契約の危険性を教えることが大切です。特に高額な商品や、実物を見ずに購入するリスクのあるものについては、必ず保護者の同意を得るように指導すべきでしょう。

フリマアプリで子どもがトラブル?未成年者の契約を法的に考える【2026年最新】の記事では、フリマアプリと未成年者契約についてさらに詳しく掘り下げています。

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身近なケースで考えてみよう

身近なケースで考えてみよう

ここで、メルカリでの返品トラブルに未成年者が巻き込まれたと想定し、具体的なケースをいくつか考えてみましょう。これらのケースを「法的にどうなる?」という問いとともに提示することで、読者の皆さんも一緒に考えるきっかけになれば幸いです。

ケース1:ゲームソフトの返品トラブル 中学生のAくん(13歳)は、お小遣いを貯めてメルカリで人気のゲームソフトを1万円で購入しました。商品説明には「動作確認済み、傷なし」とありましたが、届いてすぐにプレイしてみると、頻繁にフリーズしてしまい、まともに遊べません。ケースにも小さな傷がありました。Aくんは出品者に返品・返金を求めましたが、「ノークレームノーリターンと記載済み」と拒否されてしまいました。 この場合、Aくんは法的にどのような主張ができるでしょうか?また、保護者の関わり方はどうなるでしょうか?

ケース2:ブランド品の模倣品トラブル 高校生のBさん(16歳)は、アルバイト代で憧れのブランドバッグをメルカリで5万円で購入しました。出品者の説明では「正規品」とされていましたが、届いたバッグをよく見ると、縫製が粗悪で、ブランドロゴも微妙に違和感があります。友人に見せたところ「これ、偽物じゃない?」と言われ、Bさんはショックを受けました。Bさんは出品者に返品を要求しましたが、「正規品に間違いありません。鑑定に出しても構いません」と返答され、話が進みません。 Bさんの購入したバッグが仮に模倣品だった場合、法的にはどのような問題が生じるでしょうか?また、Bさんは未成年者として、どのような権利を行使できるでしょうか?

ケース3:親の同意なしでの高額商品購入と返品 高校生のCさん(17歳)は、親に内緒で、フリマアプリで最新のスマートフォンを10万円で購入しました。Cさんはアルバイトもしており、自分で支払うつもりでしたが、親に見つかり「そんな高額なものを勝手に買うなんて!」と叱られました。親は返品を求めていますが、出品者は「開封済みなので返品は受け付けられません」と主張しています。 この場合、Cさんの親は、法的にどのような手段を講じることができるでしょうか?また、Cさんがすでに開封してしまっていることは、返品に影響するでしょうか?

これらのケースは、単なる商品トラブルだけでなく、未成年者の契約行為、親の同意、そして契約不適合責任といった複数の法的論点が絡み合っています。法的な知識がなければ、感情的な対立に終わってしまうことも少なくありません。しかし、法律のフレームワークで考えることで、どこに問題の本質があり、どのような解決策があり得るのかが見えてきます。

法律は何と決めているか

法律は何と決めているか

上記の身近なケースを法的に考えるために、関係する法律や条文の内容を、もう少し具体的に見ていきましょう。ここでは、特に重要な「契約不適合責任」と「未成年者契約取消権」に焦点を当てます。

契約不適合責任(民法第562条以下)

まず、ケース1とケース2に深く関わるのが契約不適合責任です。

民法第562条(買主の追完請求権) 1. 引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の補修、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。ただし、売主は、買主に不相当な負担を課するものでないときは、買主が請求した方法と異なる方法による履行の追完をすることができる。 2. 前項の不適合が買主の責めに帰すべき事由によるものであるときは、買主は、同項の規定による履行の追完の請求をすることができない。

この条文は、買主が「思っていたのと違う」と感じたときに、売主に「契約の内容に合うようにしてほしい」と求める権利を定めています。ゲームソフトのフリーズや傷(ケース1)、ブランド品の模倣品(ケース2)は、いずれも「品質」または「種類」に関する契約不適合に該当する可能性があります。出品者が「ノークレームノーリターン」と記載していても、契約不適合責任は原則として免除されない、または限定される場合があります。特に消費者契約法では、消費者に一方的に不利な条項は無効となる可能性もありますが、個人間の取引であるフリマアプリでは、その適用には慎重な検討が必要です。しかし、あまりにも悪質なケースや、商品説明と著しく異なる場合は、この免責条項が無効と判断される可能性も考えられます。

民法第563条(買主の代金減額請求権) 1. 前条第一項本文に規定する場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をし、その期間内に履行の追完がないときは、買主は、その不適合の程度に応じて代金の減額を請求することができる。 2. 前項の規定にかかわらず、次に掲げる場合には、買主は、同項の催告をすることなく、直ちに代金の減額を請求することができる。

  • 一 履行の追完が不能であるとき。
  • 二 売主が履行の追完を拒絶する意思を明確に表示したとき。
  • 三 契約の内容に適合しないものが種類又は品質に関するものである場合において、買主が相当の期間を定めて履行の追完の催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。
  • 四 前三号に掲げる場合のほか、買主が催告をしても履行の追完を受ける見込みがないことが明らかであるとき。

この条文は、追完ができない場合や売主が応じない場合に、代金を減額してもらう権利について定めています。ケース1のゲームソフトがまともに動作しない場合、修理が困難であれば、代金減額や、最終的には契約解除も視野に入ってきます。

未成年者契約取消権(民法第5条)

次に、ケース3に深く関わる未成年者契約取消権です。

民法第5条(未成年者の法律行為) 1. 未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。 2. 前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。 3. 第一項の規定にかかわらず、法定代理人が目的を定めて処分を許した財産は、その目的の範囲内において、未成年者が自由に処分することができる。

この条文は、未成年者が保護者の同意なしに行った契約は取り消せることを明確にしています。ケース3のCさんのスマートフォン購入は、10万円という高額であり、親に内緒で行われたことから、保護者の同意がないと判断される可能性が高いでしょう。

民法第121条(取消しの効果) 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。

この条文により、契約が取り消されると、その契約は最初から存在しなかったことになります。購入したスマートフォンは売主に返還され、支払った10万円もCさんの親に返還される、という形になります。

これらの条文を「自分で引いて読む」経験は、法的な思考力を養う上で非常に重要です。条文の言葉を一つ一つ確認し、その要件に具体例を当てはめていくプロセスこそが、リーガルマインドを育む第一歩となるのです。 消費者契約法で未成年者を保護!法的思考力でトラブル回避【2026年最新】の記事では、消費者契約法と未成年者保護について、より詳細に解説しています。

ケースにあてはめて考える

ケースにあてはめて考える

前述の法律の条文を踏まえ、具体的なケースに当てはめて考えてみましょう。どこがポイントになり、どのような結論に至る可能性があるのかを分析します。

ケース1:ゲームソフトの返品トラブル(Aくん)

  • 契約不適合の有無: Aくんが購入したゲームソフトは「頻繁にフリーズしてまともに遊べない」という状態であり、商品説明の「動作確認済み」という品質に明らかに適合していません。また、ケースの傷も「傷なし」という説明と異なります。これらは民法第562条の「品質に関する契約不適合」に該当すると考えられます。
  • 「ノークレームノーリターン」の有効性: フリマアプリにおける個人間の取引では、「ノークレームノーリターン」という記載が必ずしも万能ではありません。特に、出品者が意図的に商品の不具合を隠していたり、商品説明と実物が著しく異なったりする場合には、この免責条項は無効となる可能性が高いです。Aくんのケースでは、フリーズするほどの不具合は「契約不適合」として出品者が責任を負うべき問題であると判断されるでしょう。
  • Aくんの権利: Aくんは出品者に対し、まず修理や代替品の引渡し(追完請求)を求めることができます。ゲームソフトの場合、修理が難しいことが多いため、代替品の引渡しまたは代金減額、最終的には契約解除と返金を求めることになるでしょう。
  • 未成年者契約取消権の適用: Aくんは13歳なので未成年者です。しかし、ゲームソフトの購入が「お小遣いの範囲内」と判断される場合、保護者の同意は不要とされ、取消権を行使できない可能性があります(民法第5条3項)。1万円という金額が、Aくんのお小遣いや家庭の状況から見て「目的を定めて許された財産」の範囲内とみなされるかが分かれ目になります。もし、明らかに高額で、お小遣いの範囲を超えていると判断されれば、保護者が同意なく行われた契約として取り消すことも可能です。
  • 対応のポイント: まずは出品者に対し、具体的な不具合の状況を伝え、契約不適合責任に基づいて追完や返金を求めることが重要です。解決しない場合は、フリマアプリ運営事務局への相談、そして保護者を通じての内容証明郵便による請求など、段階的な対応を検討することになります。

ケース2:ブランド品の模倣品トラブル(Bさん)

  • 契約不適合の有無: Bさんが購入したバッグが仮に模倣品であれば、商品説明の「正規品」という「種類」または「品質」に決定的に適合していません。これは重大な契約不適合であり、法的に非常に問題のあるケースです。
  • 出品者の責任: 模倣品を正規品として販売することは、商標権侵害や詐欺罪に問われる可能性もある行為です。出品者は、契約不適合責任を負うだけでなく、場合によっては刑事罰の対象となることもあります。
  • Bさんの権利: Bさんは出品者に対し、直ちに契約解除と代金全額の返還を求めることができます。模倣品である以上、追完(修理や代替品の引渡し)は意味がありません。また、偽物を購入させられたことによる精神的苦痛などがあれば、損害賠償請求も検討できます。
  • 未成年者契約取消権の適用: Bさんは16歳で未成年者ですが、5万円という金額は、アルバイト代として「目的を定めて許された財産」の範囲内とみなされる可能性もあります。しかし、模倣品という特殊性から、この取引自体が公序良俗に反する無効な契約となる可能性や、詐欺として取り消しの対象となる可能性も考えられます。この場合、未成年者契約取消権の適用有無に関わらず、契約の無効や取消しを主張できるでしょう。
  • 対応のポイント: 模倣品である証拠をできるだけ集めること(写真、専門家の鑑定など)が重要です。フリマアプリ運営事務局への通報はもちろん、消費生活センターへの相談、さらには警察への被害届提出も検討すべき重大なケースです。

ケース3:親の同意なしでの高額商品購入と返品(Cさん)

  • 未成年者契約取消権の適用: Cさんは17歳で未成年者であり、親に内緒で10万円のスマートフォンを購入しています。10万円という金額は、通常、高校生のお小遣いの範囲内とは考えにくく、また「目的を定めて処分を許された財産」とも言えないでしょう。したがって、保護者の同意がない「法律行為」とみなされ、親は民法第5条2項に基づき、この契約を取り消すことができます。
  • 開封済みであることの影響: 未成年者契約取消権は、契約が「初めから無効であったものとみなす」(民法第121条)という強力な効果を持ちます。原則として、たとえ商品を開封して使用してしまっていても、その契約を取り消すことが可能です。売主は、開封されたことを理由に取消しを拒否することはできません。売主は、受け取った代金を返還し、Cさんはスマートフォンを返還することになります。ただし、Cさんが商品を故意に破損させたなどの事情があれば、その損害について別途責任を問われる可能性はゼロではありませんが、単なる開封・使用であれば問題ないことが多いです。
  • 対応のポイント: Cさんの親は、Cさんが未成年者であることを明示し、同意のない契約であることを理由に、出品者に対し契約の取消しと代金返還を求める通知を出すべきです。内容証明郵便などを利用すると、より確実に意思表示を伝えられます。出品者が応じない場合は、フリマアプリ運営事務局への相談や、消費生活センターへの相談を通じて解決を図ります。

これらのケースを法的に分解し、条文に当てはめて考えることは、単に知識を得るだけでなく、問題の本質を見抜く「法的思考力」を養うことにつながります。こども六法スクールの授業では、このテーマを実際に条文を引いて、具体的なケースに分解する形で扱っています。

家庭で子どもと話し合うヒント

家庭で子どもと話し合うヒント

メルカリでの返品トラブルや未成年者の契約について、家庭で子どもと話し合うことは、法教育の非常に良い機会となります。単に「ダメ!」と頭ごなしに言うのではなく、一緒に考え、学びを深めるためのヒントをいくつかご紹介します。

  1. 「もし自分が売主だったらどう思う?」と問いかける:
    • 子どもが購入者としてトラブルに遭った場合、「もし自分が同じ商品を売っていたとして、相手から返品を求められたら、どういう説明なら納得できるかな?」と問いかけてみましょう。相手の立場に立って考えることで、自分の主張の根拠や、相手への伝え方を客観的に見つめ直すことができます。
  2. 「この商品の何が問題だった?」と具体的に考える:
    • 「壊れていた」だけでなく、「具体的にどう壊れていた?」「商品説明のどこに問題があったと思う?」と、問題点を細かく分解して考えさせます。これにより、「契約不適合」という抽象的な概念を、具体的な事象に結びつける練習になります。
  3. 「法律では、なぜ未成年者を保護するんだろう?」と背景を考える:
    • 未成年者契約取消権について話す際に、「なぜ大人と子どもでルールが違うと思う?」「子どもが自由に何でも契約できてしまうと、どんな困ったことが起きるかな?」と問いかけます。法律がなぜ存在するのか、その目的や背景を考えることで、単なるルールの暗記ではなく、法の精神を理解することにつながります。
  4. 「どうすればトラブルを防げたかな?」と予防策を考える:
    • 「もし、もう一度同じ商品を買うとしたら、今度はどうする?」「出品する時は、どんなことに気をつけたら、相手に誤解を与えないかな?」と、トラブルの再発防止策を一緒に考えます。商品説明の書き方、写真の撮り方、質問への対応など、具体的な行動に落とし込むことで、実践的な学びになります。
  5. 「これはどの法律に関係すると思う?」と条文を意識させる:
    • 「これは民法の契約不適合責任かな?それとも未成年者契約取消権かな?」と、トラブルの内容と法律の条文を結びつける習慣をつけさせます。家庭に『こども六法』があれば、一緒に条文を探して読んでみるのも良いでしょう。条文を「自分で引いて読む」経験は、国語の読解力向上にも直結します。

これらの問いかけを通じて、子どもは「答えのない問い」に対して、根拠を持って考えるプロセスを体験できます。感情的な反応ではなく、法律という客観的なフレームワークを使って問題を分析する力は、子どもたちが社会で生きていく上で非常に重要なスキルとなるでしょう。

まとめ:「知っている」が子どもの選択肢を増やす

メルカリでの返品トラブルは、未成年者にとって身近な問題でありながら、契約不適合責任や未成年者契約取消権といった複雑な法的概念が絡み合う、奥深いテーマです。感情的に「損をした」「騙された」と感じるだけでなく、一歩踏み込んで「法的にはどうなるのか?」と考える視点を持つことが、子どもたちの未来を大きく左右します。

「答えのない問い」に対し、条文を自分で引き、言葉の定義のブレを見抜き、論理的に思考する力は、現代社会を生き抜く上で不可欠なスキルです。法律は、単なる暗記科目ではなく、私たちの日常生活で起こる様々な出来事を言語化し、構造化するための「OS」のようなものです。このOSを使いこなせるようになることで、子どもたちはトラブルに直面した際に、感情に流されず、冷静に状況を分析し、適切な選択肢を見つけることができるようになります。

フリマアプリでのメルカリ返品トラブルは、子どもたちが法律を「自分ごと」として捉え、法的思考力を養う絶好の機会です。保護者の皆様には、ぜひこの機会を活かし、お子様と一緒に法律の世界を探求してみていただきたいと思います。「知っている」という知識の力は、子どもたちの選択肢を増やし、自信を持って社会と向き合う力を与えてくれるでしょう。

こども六法スクールの授業では、今回取り上げたテーマを、単なる知識の伝達ではなく、生徒たちが実際に条文を引いたり、具体的なケースを分解したりしながら、深く思考する形で扱っています。

よくある質問(FAQ)

Q1. 未成年者がメルカリでトラブルに遭った場合、まず何をすべきですか?

まず、具体的なトラブル内容(商品が動かない、傷があるなど)を明確にし、その証拠(写真、動画など)を記録してください。次に、メルカリの取引メッセージを通じて、出品者に状況を具体的に伝え、解決策(返品・返金など)を話し合いましょう。解決しない場合は、メルカリ運営事務局に相談し、ガイドラインに沿った対応を求めます。

Q2. 「ノークレームノーリターン」と記載された商品でも返品できますか?

「ノークレームノーリターン」という記載があっても、それが常に有効とは限りません。特に、商品説明と著しく異なる場合や、重要な不具合が出品者によって隠されていた場合など、「契約不適合」に該当する状況であれば、返品・返金を求める権利があります。ただし、個人間の取引では、解釈が難しいケースもあるため、個別の状況に応じて判断が必要です。

Q3. 保護者の同意なしで子どもがメルカリで高額商品を購入した場合、どうなりますか?

未成年者が保護者の同意なく行った法律行為は、原則として「未成年者契約取消権」によって取り消すことができます(民法第5条)。高額な商品であれば、お小遣いの範囲内とは考えにくいため、保護者が契約を取り消し、支払った代金の返還を求めることが可能です。商品を開封・使用していても、原則として取り消しの効果は変わりません。

Q4. 契約不適合責任と未成年者契約取消権は、どちらを優先して考えるべきですか?

未成年者が関わるトラブルでは、まず「未成年者契約取消権」の適用可能性を検討することが重要です。この権利は未成年者を保護するための強力な手段であり、契約不適合の有無に関わらず、保護者の同意がなければ契約自体を取り消せる可能性があります。ただし、お小遣いの範囲内の取引など、取消権が適用されないケースでは、契約不適合責任に基づいて問題を解決することになります。

Q5. 子どもに法的な知識を身につけさせるには、どうすれば良いですか?

子どもに法的な知識を身につけさせるには、日常生活の身近な出来事を題材に、親子で一緒に考える機会を作ることが有効です。例えば、ニュースで報じられる事件や、今回のようなフリマアプリのトラブルを「これは法的にどうなる?」という問いかけから始めてみましょう。こども六法を一緒に読んだり、なぜその法律があるのかを話し合ったりすることも良い方法です。こども六法スクールのような法教育の場を活用するのも一つの選択肢です。

ご利用にあたって(免責)
本記事は、法律を身近に理解するための一般的な解説であり、個別の法的アドバイスではありません。実際のトラブルや具体的なご状況については、弁護士や法テラスなどの専門機関にご相談ください。本記事は『こども六法』著者・山﨑聡一郎の法教育の考え方にもとづき、こども六法スクールが作成しています。

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